1日の疲れをリセットするのに大切な睡眠の時間。
しかし、ベッドに横になり枕に顔を沈めたときに、カメムシのようなイヤーなニオイが…
毎日お風呂に入って、しっかり頭も洗っているのに、どうして枕が臭くなってしまうのでしょうか?
加齢臭が原因で枕が臭くなっていると思う方が多いと思いますが、実はこのカメムシ臭の正体は加齢臭ではありません。
このニオイの原因は一体なんなのでしょうか?
また、どうすればニオイの発生を防ぐことが出来るのでしょうか?
この記事では、カメムシ臭の正体を暴くとともに、枕にニオイをつけない為の対策を紹介します。
さっそく見ていきましょう。
枕に漂うカメムシ臭の正体とは
冒頭の文中でもお伝えしたように、このカメムシ臭の原因は加齢臭ではありません。
良く加齢臭と誤解されがちなのですが、加齢臭が出始めるのは、一般に50代以上とされています。
30~40代の比較的、若い世代に発生しやすいニオイはミドル脂臭と言われていて、枕に漂うカメムシ臭の正体は、このミドル脂臭です。
汗のニオイ、加齢臭に次ぐ、第三の体臭と言われています。
30~40代を襲うミドル脂臭
男性の体臭は年齢で変化します。
先ほども紹介したように、このミドル脂臭は30~40代の比較的若い世代の男性に発生します。
加齢臭は、枯れ草に例えられることもあり、懐かしいいいニオイだと感じる人も少なくないようですが、このミドル脂臭は、どう考えても良いニオイとは表現しがたく「つわり香」と呼ばれていて、胸がムカムカするほどの不快感を与えるのが特徴です。
次は、ミドル脂臭の発見にいたった経緯と、その原因について紹介します。
ミドル脂臭発見の歴史、悪臭VSニオイ研究員
この不快なニオイの原因をつきとめたのは、大手化粧品メーカー「マンダム」にて、ニオイの研究を行う、ニオイ研究員達です。
ウェブアンケートで「加齢に伴い体臭が変化した。と感じる年齢は?」と尋ねたところ、30代で「変わった」と感じる人が増え始め、40代で変化を実感している人の数が集中しているという結果が出ました。
そのアンケートの結果から20代の汗臭から50代までの加齢臭の間の段階で、体臭が変化していると考え、研究を開始しました。
そして、7年という長期間にわたり、延べ1000人以上の脇や頭などのニオイを嗅ぎ続け、ついにその悪臭(ミドル脂臭)の正体をつきとめるに至りました。
ついに捉えたニオイの正体、その名はジアセチル
ニオイ研究員達の7年にわたる激闘の末、発見されたミドル脂臭の正体はジアセチルという名前の有機化合物です。
このジアセチルとは、どんなものなのでしょうか?
ジアセチルとは
ジアセチルとは、表皮ブドウ球菌などの皮膚常在細菌が汗に含まれる乳酸を代謝することにより発生する有機化合物で、とても強烈なニオイを放つのが特徴です。
日本酒の醸造過程で発生してしまうこともあるようで、もし原酒樽のなかに、ほんの少しでもジアセチルが発生してしまった場合は、中身だけでなく、樽ごと廃棄してしまわなければならないほど不快臭の強い成分です。
ジアセチルの撃退の秘訣は後頭部を清潔にすること
このミドル脂臭の原因となるジアセチルを撃退する秘訣は、後頭部を清潔に保つことです。
ニオイ対策として「耳の裏をしっかり洗っている」という方が多いですが、その方法は適切ではありません。
ミドル脂臭が最も発生しやすい場所は後頭部で、次いで頭頂部、首の後ろとなっています。
加齢臭も、主に体幹や背中から発生しているので、耳の裏は関係ありません。
ミドル脂臭を撃退するには、後頭部をしっかり洗って清潔に保つことを心がけましょう。
あなたは大丈夫?ミドル脂臭はこんな人に多い
肉が好きで、野菜をあまり食べない人や、仕事が忙しくて中々休みが取れずに、ストレスが溜まっている人は要注意です。
しっかりと後頭部を洗うなどして、気を付けていても、自分のニオイには慣れてしまって気づきにくい場合があります。
不安な方は、下記のチェックリストを確認してみてください。
セルフチェックリスト
- 頭や首の後ろあたりがべたつくことがある
- 枕カバーに色がつく、または臭いと指摘される
- 肉中心の食生活で野菜をあまり食べない
- 間食が多く、夜食を食べる習慣がある
- ストレスを感じている
- 汗(特に後頭部付近に)をかきやすい
- 肥満、太り気味である
- 決まった時間に食事をとれない
- 運動不足である
- 仕事が忙しく休みがとれず、疲労がたまりがち
この、セルフチェックリストに、当てはまる項目が多いほど、ミドル脂臭を発生させている可能性は高くなります。
改善できる部分は改善して、ニオイ発生の予防に努めましょう。
続いては枕のニオイ対策を紹介します。
枕のニオイ対策4選
枕のニオイ対策は主に以下の4つが挙げられます。
良質な睡眠をとるために、寝具を清潔に保つことは大切なことです。
それでは、枕のニオイ対策を見ていきましょう。
枕カバー、側生地を洗う習慣をつける
枕カバーは、寝汗だけでなく、皮脂やアカ、フケなどを受け止める、枕にとってのバリアーのようなものです。
当然、汚れやすくニオイがつきやすいので、2、3日に1度は洗濯するようにしましょう。
また、枕の側生地も、取り外しが可能であれば、週に1度は洗濯しましょう。
枕カバーは、頻繁に洗濯することになりますので、洗濯強度に優れた麻素材や、密度のしっかりした綿素材のカバーがおススメです。
時間的な余裕があるのなら、毎朝、枕からカバーを外して吊干し乾燥させると、雑菌の繁殖を抑えることが出来ます。
中材を乾燥させる
枕カバーをしていても、寝汗のすべてを防ぐことが出来ずに枕の中材へ浸透していきます。
そのため枕の内部は湿った環境になりがちです。
放置してしまうと雑菌が繁殖してニオイの原因となってしまいますので、最低でも週に1度は枕の中材を乾燥させるようにしましょう。
ウレタン枕などの場合は、簡単に中材を取り外すことが出来ますが、羽毛枕は中材を取り出せないので、揉み解しと日陰干しを、何度か繰り返す必要があります。
中材を乾燥させることにより、雑菌の繁殖を抑え枕が臭くなるのを防ぐことが出来ますので、少し面倒ですが、ぜひ実践してみてください。
中材を水洗いする
パイプ、高反発ファイバーや、洗えるウレタンなどの洗える素材であれば、水洗いしましょう。
左:パイプ 右:高反発ファイバー or ウレタン
中材を水洗いするときのポイントは、皮脂汚れを分解しやすい40℃前後のぬるま湯で洗うことです。
お湯につけ置きするだけで、ニオイはほとんどなくなります。
【中材を水洗いするときの注意点】
パイプ・高反発ファイバーは洗剤を使用することが出来ますがウレタンは洗剤を使用することが出来ません。
パイプ・高反発ファイバーの場合でも、洗剤を使用する場合は念のため、洗濯表示タグや販売店、メーカーに確認してから、使用するようにしましょう。
また、ウレタンを水洗いするときは、水分を含んで重くなるので、ウレタンが自重で千切れてしまわないように持ち方に注意が必要です。
水洗いが終わったら、しっかりと乾燥させるようにしましょう。
乾燥が甘いと、雑菌が繁殖してしまい、新たなニオイの原因となってしまいます。
生活習慣を改善する
先ほど紹介したように、枕のニオイの原因はミドル脂臭と呼ばれる体臭が、原因となっている場合が多いです。
このミドル脂臭を予防するには、生活習慣を改善するのが、効果的です。
運動をする習慣をつけるのは少しハードルが高いですが「飲酒量を減らす」「食事を肉中心から野菜中心のものへ変える」など、少しの努力でできるものもありますので、できることから改善してみてください。
最後に枕のニオイ対策の強い味方!頼れる寝具アイテム達を紹介します。
枕のニオイ対策の強い味方!寝具アイテムを活用しよう。
枕についてしまったニオイの落とし方や、予防策を紹介してきましたが、「実践してみても効果がいまいちだった」というかたは、以下に紹介する3つの「寝具アイテム」を使ってみることをお勧めします。
枕パッド
枕パッドは、枕カバーよりも多くの寝汗を吸い取ることが出来ますので「枕カバーだけでは心もとない」という方や寝汗の量が多い方はぜひ使ってみてください。
枕プロテクター
枕カバーをしていても、寝汗が枕の中に浸透してしまいニオイの原因となってしまう場合があります。
中材が洗えない枕の場合、まだ新しい枕でもニオイがついてしまい、捨てざるをえなくなるのはとてももったいないですよね。
羽毛などの中材が洗えない枕を使っている方は、ぜひこの「枕プロテクター」を試してみてください。
枕プロテクターが枕の内部に汗が浸透するのを防いでくれるので、ニオイの主な原因をカットすることができ、とてもおススメです。
洗える枕
洗える枕であれば、枕が臭くなっても丸洗いすることで、簡単にニオイを落とすことができます。
乾燥機対応のものであれば、しっかりと乾燥させることが出来るので雑菌の繁殖も心配する必要が有りません。
まとめ
枕に漂うカメムシ臭の原因と対策をご紹介しました。
カメムシ臭の正体はミドル脂臭と呼ばれる体臭で、とても強烈なニオイを放ちますが、後頭部をしっかり洗って、生活習慣を改善することで、ニオイの発生を防ぐことが出来ます。
また、枕のニオイ対策として
- 枕カバー、側生地をこまめに洗う
- 枕の中材を乾燥させる
- 枕の中材を水洗いする
- 生活習慣を改善する
という対策をご紹介しました。
この4つを実践することで、枕についてしまったニオイを落とし、新たなニオイがつくのを防ぐことが出来ます。
上に挙げた4つの対策を実践しても、効果がいまいちという方は、寝具アイテムを活用してみてください。
清潔な枕で、良質な睡眠をとることが出来れば、疲労回復効果も段違いで、寝覚めもよく、すがすがしい朝を迎えることが出来ますよ。
それでは快適な睡眠ライフを。